作り手天国

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先日、消費税率のアップが決まりました。
国の財政事情や高齢者福祉の問題etc.はおいといて、
長い目で見れば、これはものづくり人や生活者にとっていいことではないかと思います。

今の日本、作らなくていいモノ、売らなくていいモノがあふれすぎている。
作らなくていいモノというのは、「欲しがる人がいないモノ」のこと。
売る側が、「こういうの作れば買ってくれるだろう」と安易に考えても、
買う側からすれば、ぜんぜん欲しくないかもしれない。

でも、ほんとは大して欲しくもないのに、
なんとなく買いたいような気分になって、
ストレス発散も兼ねて買ってしまっているモノって、
今、たくさんあると思う。
巷のファッションビルや量販店にちょっと足を踏み入れただけで、
モノの洪水にげんなりします。

せめて消費税でも上がれば、買う側も少しは考えて、
ほんとに欲しいものを吟味するようになるんじゃないだろうか。
自分がほんとうに「これが欲しい!」と思うモノなら、
いくら消費税が上がったって買うんじゃないかなと思います。
それは、ほんとにいいモノを作って売っている人たちにとっても、
いいことなんじゃないだろうか。
逆に、ちょっと税金が上がったぐらいで買うのをやめるようなモノは、
はなから買わなくていいのです。

そして、ただ売りたいがために作られたモノは、
自然と淘汰されていくんじゃないだろうか……
それもまた、買う側にとっていいことじゃないだろうか……
と思います。
あくまで個人的な、希望的観測です。

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ことばの力

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BSで、日本が五輪招致に成功した全プレゼンテーションを放映していました。
丸1時間でしたが、ついつい全員のスピーチを全部聞いて&見てしまった。
東京は過去に二度落選しているし、
これまで招致に関わった人たちの「ぜったいやってやるぞ」という
執念みたいなものも感じました。

実は、招致が決定するまで、私はまったく関心がなかったのですが、
震災や原発の問題もあるし、人それぞれいろんな意見があると思います。

パラリンピック選手の佐藤さんのスピーチ、よかったですよね。
聴く人の心をわしづかみにして揺さぶるような話だったと思います。
もちろんスピーチライターの人が、そこをねらって原稿を書いているとは思うけれど、
自分のことばとして語っていたと思います。
ほんとうに良いスピーチには、人の心を動かす力があるんだなと思いました。
むしろ佐藤さんのスピーチは、日本人に向けたものだったかもしれませんね。

スポーツや音楽や芸術は、どうしても後回しにされがちで、
「必要ないもの」と片付けられやすいけれど、
ほんとにそれでいいのか?
エネルギーも資源も土地もほとんど持たない日本人は、
もともと、何もないところから体と頭を使って何かを生み出すことで
生き残ってきたんじゃないのかな。

そういうところの壁をぶちやぶって、
一皮むけたいものです。

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マエストロの手

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先日、日本が誇るマエストロ、渡辺香津美さんのギター生演奏を聴くことができました。
ほんとうは、某人気若手ギタリストさんのコンサートに誘っていただいて行ったのですが、
当日会場で、香津美さんが特別ゲスト!!!と知ったのでした。
こんな願ってもないサプライズがあるでしょうか~!

そのうえ、手元がとてもよく見える座席だったので、
感じることや、勉強になることがたくさんありました。

若手ギタリストさんが、あの手この手でこれでもかと繰り出す超絶技巧を、
香津美さんは悠然と受け止めていました。
その安心感、安定感といったら!
相手の若手さんも、それをわかって思いっきり弾きまくっていて、
巨匠の庭で遊ぶギター小僧のようでした。

そして、香津美さんは意外にも手がそれほど大きくなさそうにお見受けしました。
いかにもやわらかそうな、ふっくらしたお手でした。
しかも、運指を見ていると、とてもスムーズで簡単そうで、
ついつい「私にもできる」と思ってしまう。。。
(これは以前ジョアン・ジルベルトを見たときと同じ勘違いですが。。)

そうかと思えば、アンコールで某有名シンガーさんが飛び入り参加すると、
今度は完全に自分の存在を消して、「伴奏者」にまわっていた。
本物のプロフェッショナルを拝見しました。

きっと、今まで(そして今も)同じフレーズを
何千回も何万回も稽古されてきて、あの手が作られたのだろうなと思います。

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メトロノーム復活祭

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これは、ン十年前に私がピアノを習いはじめたころに買ってもらった、
手巻き式のメトロノームです。
電池で動くやつではありません。
もちろん、いまどきのピコピコ電子音が出るやつでもありません。
重りのついた振り子が揺れて、「カチ、カチ、カチ、チーン♪」と金属のチャイムが鳴るやつです。

いまどきのやつが悪いわけでもないんですけど、
新しい楽器の稽古を始めて、このメトロノームを使おうとしたら、
長年放置していたせいか、まったく動かなくなっていたのです。
安物の電子メトロノームも持っているけれど、
これ、なんとか直せないかなあ。。。
と思ってメーカーに問い合わせたら、
「そんな大昔の、部品もないし直せるわけないじゃんか」と、
まあそんな言い方をされたわけではないけれど、そういう趣旨の回答が返ってきまして、
予想はついていたけれど、ちょっとガッカリしたのでした。

自分の会社で作っているものに対する愛情が、
あまり感じられない返答だったので、
自社製品がかわいくないのかなあ。。
と思って。大手メーカーなんて、大方こんなものでしょうが。
たぶん、カスタマーサービスの担当者じゃなくて
ものづくりをしている技術者さんだったら、もう少し反応が違っていたかもしれません。

それはさておき、このようなアナログ機器を直してくださる方がいるのだろうか。
と、あまり期待せずに探してみたら、すぐ見つかったのです!!!
やっぱり、古いものを大事にしてくださる方は意外といるのですね。
さっそく実物を送って、分解して見てもらったところ、
どこか壊れているところがあるわけではなく、
古くなったグリースとホコリが固まって、
機構の部分が動かなくなっていただけでした。

それであっという間にきれいに直してくださって、
すぐに送り返されてきました!!!
費用も、思ったほどかからずにすみました。
こういうものを長く持たせるには、
「定期的に使ってあげること」だそうです。
ほんと、そのとおりですね。どんなものでも(人間も)、使わなければサビついてしまう。

かくして、「カチ、カチ、カチ、チーーン♪」がよみがえりました。
昔のトースターとか、黒電話の音って、こんな感じの鳴り方だった気がします。
音って、不思議にその当時のことが自然と思い出されるので、
今は、この音を聴きながら、ピアノを習いはじめたときの気分に帰っています。

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おとなのひとたち

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昨日はお友達のくるま屋Lさんの開店15周年記念パーティにお招きいただき、おじゃましてきました。
この日は、もう一人のくるま屋さんのお友達Gさんもお見えでした。
Gさんも15周年だそうで、おめでとうございます!
ご両人と私は、くるまを通じてお友達になりました。
……のではありません。私はくるまを持っていません。

どなたの言葉か忘れましたが、「おとな」であることの条件として、
「自分の会社や店を経営できること」と言っていた人がいました。
ほんとにそのとおりです。
組織にがんじがらめにならないで、自分の価値観を持つこと。
そして自分のお城をまわしていく器量を持つこと。

一口に開店15周年といいますけれど、たいーーーへんなことですよね。
でも、そんな長く大変な道のりを、なぜやってこられたのか、
LさんとGさんを拝見していると、合点がいきます。
ものづくりや、くるまを通じて、まわりの方たちをとても大切にしておられて、
あったかーい「愛」があるのですね~!
だから、くるまのことに限らず、自然と人の輪が生まれて、
皆さんにも、とても愛されているのだと思います。

経営者でなくても、自分のしていることを大切にすることで、
そういう輪をちょっとずつ作っていって、
みんなで一緒に幸せになりたいですね。。。
それもまた、大人になるってことなんではないだろうか。
私も、とくに何をするわけでもないけど、なんだか、がんばろうっと。と思いました。
それと、くるまに乗りたくなりました!

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ヘナート・ブラスさん

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先日、ヘナート・ブラス(Renato Braz)さんのライブを聴くことができました。
ヘナートさんは、ブラジル音楽に詳しければ、知る人ぞ知るお方です。
私も、ある場所でお声を聴いたことはあったのですが、
ちゃんと演奏と歌をCDで聴いたのは、わずか1か月ほど前でした。

そして今回、ほんとうに幸運なことに、
都内で開かれた小さな音楽会に参加することができました。

ヘナートさんの声や音は、もうライブで聴くとほんとに……
母なる大地というか、母なる海というか、母なる地球というか、
大きな愛そのものでした。
とても繊細なのに、ひとつひとつの音、ひとつひとつの声に、
すべてあたたくて優しい魂がこめられていました。
ポルトガル語がわからなくても、聴いていると、
何かにくるまれて子どもの頃の気持ちに帰っていくような感じです。
「感動」というより「体験」でした。

ライブ後半では、「ふるさと」「七つの子」「ゆりかごのうた」を
日本語で、いつくしむように大切に歌ってくれて、
そのあまりに澄んだ魂に、もう涙をこらえるのに必死でした。
数日たった今になって思い出しても、なんだか胸がいっぱいになります。
ほかのお客さんも、たぶんみんな同じ気持ちだったと思います。

演奏のあと、一緒に写真を撮ったりサインをしていただいたりしたのですが、
近くにいるだけでもう、とても大きな大きな優しさが伝わってくるような方でした。

こういう気持ちを、なるべく忘れずに、毎日を過ごして、生きていけたらいいな。

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ひつじの神社

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名古屋の続き。
お友達が、ひつじ好きな私のために「羊神社」に案内してくれました!!
辻町というところにある小じんまりした神社で、ほかに参拝者もなくひっそりとしていました。
なぜ、名古屋に羊をまつった神社が?!

この神社は、天照大神と火之迦具土神がまつられているそうです。
火之迦具土神は、火ぶせの神さま。
このあたりの辻町も、羊神社があることから「火辻」という町名だったけれど、
火事を連想させるため、火を取って「辻」という名前にしたとのこと。
第二次大戦のときも、この一帯は焼けずにすんだそうです。
……以上、すべてこちらのサイトの受け売りでございます。

しかし、これを聞いてまた新たな謎が。。
「羊」と「火辻」は、どっちが先なのか?!
以前にも書いた根津美術館にあるひつじのような、
「こま犬」的な存在とは違うのかしら。

ひつじというヤツは、つくづく不可思議ないきものだなと思います。

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